建物の構造には木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造というものがあることは聞いたことがある方も多いかと思われます。
ですが、建築の仕事に携わっている方でもないと、その特性の違いを理解されている方は少ないのではないでしょうか。
もしご自身で戸建て住宅を購入するとなった場合、それらは特徴やコストに違いがあるにも関わらず、あまり理解されずに家を建ててしまうと後々「こんなこともできたのか」、「我が家もこうしとけばよかった」と後悔することになるかもしれません。
本稿では一級建築士として建築の仕事に携わる筆者が、戸建て住宅の構造別のメリットやデメリットを紹介いたします。
・住宅を建てたあとに後悔したくない方
木造
メリット
戸建て住宅といえば木造が真っ先に思い浮かぶの方も多いのではないでしょうか。
木造住宅のメリットは主に以下の点が考えられます。
- 鉄骨造、鉄筋コンクリート造に比べるとコストが安い
- 調湿効果があり、湿度を安定させてくれる
- 断熱性が高く、年中過ごしやすい
- 落ち着きを与えてくれる、リラックス効果がある
まず真っ先に思い浮かぶメリットはコスト面です。
金属材料の使用が少ないため材料費が安く、また工事にかかる人数も少ないため人件費も抑えられます。
また、木材は水分の吸収や放出が可能なため、建物内の湿度をある程度一定に保ってくれます。
熱を通しにくく断熱性が高いというメリットもあります。
日本では古くから木材が建築物に使われており、日本の気候、風土に適した材料ということです。
加えて、自然の材料を使用しているため、あたたかみや落ち着きのある空間を作ることができます。
デメリット
一方、木造住宅のデメリットとしては、以下のような点があります。
いずれも、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べると、といった意味合いです。
- 耐久性に難あり
- 燃えやすい
- 設計自由度は低い
木材はシロアリの被害や経年による劣化、不朽といった面が心配されます。
シロアリに関しては建設時に薬剤散布などが行われますが、定期的に行う必要があります。
また、経年劣化に関しても定期的なメンテナンスが望ましく、それらに関する費用がかかることが予想されます。
また、木材は燃えやすく、一度火災にあうと再利用が難しいでしょう。
火災後の修繕には、建て替えなどの抜本的な対応が必要になります。
また、耐震性を確保するためにある程度の壁量をバランス良く配置する必要があります。
そのため、設計の自由度は鉄骨造や鉄筋コンクリート造に比べてしまうと、劣っていると言わざるを得ないでしょう。

鉄骨造
メリット
鉄骨造のメリットとしては、以下の点が考えられます。
- 設計自由度が高い
- 広い空間などでも耐震性に優れている
- 材料の品質が安定している
- 耐久性に優れている
鉄骨造は木造と異なり、壁がなくても、柱とはりで耐震性能を確保できる構造です。
また、木造に比べて大きな空間が作りやすく、大きな窓を設けた明るく開放的な家づくりができます。
また、鉄骨は工場製作で基準強度などが規定されているため、品質が安定しています。
技術の必要な溶接なども管理された工場内で行われるので、品質のバラつきは少ないです。
鉄骨は耐久性にも優れており、顕著な浸水などがない限り、鉄骨部材自体の定期的なメンテナンスは不要と考えてよいでしょう。
デメリット
一方、デメリットとしては以下のような点があげられます。
- 木造に比べるとコストが高い
- 断熱性が低い
- 地盤改良や基礎に費用がかかる可能性あり
鉄骨には板厚が6mm以上の重量鉄骨と、6mm未満の軽量鉄骨という2種類がありますが、軽量鉄骨のほうが比較的安価です。
戸建て住宅の規模であれば軽量鉄骨が使用されるのがほとんどですが、それでも金属材料を多く使うことから、木造に比べるとコストが高くなる傾向にあります。
ただし、木造のようにシロアリ対策の薬剤散布や定期的なメンテナンスの費用はかかりません。
また、金属材料は熱しやすく冷めやすいため、外気温の影響を受けやすいです。
夏場は暑く、冬場は寒くなりやすいため、十分な断熱対策が必要になります。
加えて、木造に比べると重量が重いため、軟弱な地盤に建てる場合は、地盤を強固にする地盤改良や、地面深くの安定した地盤まで杭を打つなどの対応が必要となる可能性があるため、さらに費用が加算される可能性があります。

鉄筋コンクリート造
メリット
鉄筋コンクリート造のメリットには、以下のような点があります。
- 設計自由度が高い
- 広い空間でも耐震性に優れている
- 遮音性に優れている
- 耐火性に優れている
- 気密性が高い
鉄骨造と同じく、壁を減らし、柱とはりで耐震性を確保することができます。
そのため設計自由度は高く、また曲線上の壁などもデザインすることができます。
また、木造や鉄骨造に比べて地震時の揺れが小さい傾向にあるため、家具の転倒や家財の破損などを抑えられるでしょう。
また、鉄筋コンクリートの壁や床で空間が仕切られるため、木造や鉄骨造と比較すると遮音性に優れています。
多くのマンションが鉄筋コンクリート造なのは、この点が大きな理由です。
耐火性にも優れており、火災にあったとしても、コンクリートの表面的な補修で再利用できる可能性が高いです。
気密性も高く、一度冷暖房で調整した温度を長時間維持することができます。
デメリット
反対にデメリットとしては、以下の点が考えられます。
- 建設コストが高い
- 地盤改良や基礎に費用がかかる可能性あり
- ひび割れが入る可能性あり
建設コストは、3種類のなかでもっとも高くなる傾向にあります。
鉄筋コンクリート造といえばお金持ちの家というイメージをお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
材料費はもちろんのこと、鉄筋を組んだりコンクリートを打ち込んだりと人出もかかるため、人件費も高くなるでしょう。
また、木造、鉄骨造に比べて建物重量が重いため、地盤を強固にする地盤改良や、地面深くの安定した地盤まで杭を打つなどの対応が必要となる可能性がもっとも高く、これらの費用が加算される可能性があります。
加えて、コンクリートはひび割れが入るものだということを理解しておく必要があるでしょう。
仕上げ材が施されるなど、コンクリートそのものが見えないことも多いですが、打ち放しコンクリートであればひび割れが入れば気になってしまうでしょう。
経年劣化ではひび割れが入らないように各社工夫をされていますが、地震が起きた際などはひび割れが入る可能性が高いです。
屋外でひび割れが生じれば雨水の浸入を許し、劣化につながる恐れもあります。
ひび割れに関しては、設計会社とよく調整しておく方がよいでしょう。

おわりに
ここまで、木造、鉄骨造および鉄筋コンクリート造の3つの構造について、メリット、デメリットを紹介してきました。
ちなみに私は木造戸建て住宅に暮らしていますが、「シロアリのメンテナンスどうしよう」とかいった悩みがありますね。
一方で住宅としての機能面にまったく不満はありません。
いずれも一長一短といった感じかとは思いますし、ご本人が何を優先するかだと思います。
本稿が皆さんのおうち選び、おうち作りの参考になれば幸いです。