社会人でも学生でも、多くの人がぶつかるのが人間関係の悩み。
人間関係がうまくいかないという人は、もしかすると自分の発言のせいで周囲の人との関係性を悪化させているかも。
反対に、自分の言葉をかえるだけで、まわりの人たちとの関係性を良好にできるかもしれません。
この記事では、良好な人間関係を築くために意識すべき「ゴットマン比」というものを紹介しています。
ゴットマン比とは、自分の発言におけるポジティブな発言とネガティブな発言の比をあらわすもの。
もしかするとあなたは無意識にネガティブな発言をしすぎてて、まわりの人に嫌われているかもしれませんよ‥‥。
ゴットマン比とは
ジョン・ゴットマン博士が考案
冒頭にも紹介したとおり、ゴットマン比とは自身の発言におけるポジティブ(肯定的)な発言とネガティブ(否定的)な発言の比のこと。
ゴットマン率やゴットマン比率とも呼ばれたりします。
だいたいはポジティブ3:ネガティブ1みたいな感じの比で表現されるので、ゴットマン比ですね。
余談ですが、率だと何%という表現になるので、ゴットマン率という呼び方には個人的に違和感があります。
ワシントン大学の名誉教授、ジョン・ゴットマン博士が提唱しているのでゴットマン比と呼ばれます。
国立精神衛生研究所の「研究者賞」を4度も受賞されている、心理学における大家です。
ゴットマン博士が提唱している比率よりもネガティブな発言が多いと、良好な関係が築きづらい、嫌われる可能性が高いとされています。
新婚夫婦が離婚するかを約9割的中
ゴットマン博士は研究の中で、新婚夫婦にインタビューを行い、夫婦の会話から将来的に離婚するか否かを約9割の確率で予測しました。
ゴットマン博士いわく、新婚夫婦が5年以内に離婚するかを87.4%の確率で予測できたとのこと。
その方法は、インタビューをとおしてカップルの関係性や結婚生活の方針について質問し、肯定的な発煙や否定的な発言に着目するというもの。
要するに、夫婦関係や結婚生活に肯定的(前向き、ポジティブ)な発言が多いほうが、お互いの関係が安定しているということ。
反対に、新婚にも関わらず否定的(後ろ向き、ネガティブ)な発言が多ければ、その後離婚する可能性が高いよう。
会話のなかだとあまり意識せずに発言しているものも多いはず。
そのため、「無意識にネガティブな発言、相手を否定する言葉を発しているかもしれない」と感じる方は、自分の言葉に注意を向けたほうがいいかも。
このことがわかっていれば、離婚の危機に瀕している夫婦も、良好な関係に戻ることができるかもしれませんね!
相手との関係性でゴットマン比は異なる
さて、ここまでゴットマン博士の新婚夫婦に対する研究をとおして、ゴットマン比(ポジティブ発言:ネガティブ発言)が人間関係に直結することを紹介してきましたが、ゴットマン比は相手との関係性によりその比率が異なります。
ここからは、どのような相手にどのような比率で言葉がけをしていけばいいのか、それぞれのケースに対して紹介していきます。
夫婦やカップルがうまくいくには
まずは先の例でもあった夫婦やカップルの場合。
この場合のゴットマン比はポジティブ5:ネガティブ1とされています。
相手に対してネガティブな発言を一度してしまったら、ポジティブな発言が5回必要ということですね。
これを聞くと、「ポジティブ発言5回って多いな」と感じる人も多いのではないでしょうか。
「自分は最近、相手の悪態をつくようなことしか言っていない」と自覚している方もおられるかもしれませんね。
「ポジティブ1に対してネガティブ5だわ」って方も多いのでは?
「いや、そんなにポジティブなことばかり言えないよ」と感じる方もおられるかもしれませんが、これは冒頭に紹介したゴットマン博士の研究に基づく数値。
結婚生活が長いと新婚さんほどラブラブではないかもしれませんが、意識したい数値です。
大切なのは「悪態ばかりつくのはやめよう」、「パートナーをもう少し尊重しよう」と意識することかと思います。
お子さんのいるご家庭であれば、子どもの前でパートナーを褒めるような発言が多ければ、お子さんももっとお父さん、お母さんのことが好きになるはずです。
ちなみに結婚前のカップルなら、結婚に対する価値観を無料で分析できる「婚活EQ診断」というものを使い、お互いの価値観を確認するのもオススメ。
婚活EQ診断については以下の記事で紹介していますので、気になる方はチェックしてみてください。
上司と部下なら
職場における上司と部下の場合のゴットマン比はポジティブ4:ネガティブ1。
否定的なことばかりいう上司は嫌われるに決まっていますよね。
私も社会人生活が長いですが、指導の責任感からか、できていないところを否定ばかりする上司がまだまだ多いように思います。
実力不足の部下に対して否定的なことばかり言い、できていることには触れない。
ゴットマン比でいうとネガティブ10に対してポジティブ0みたいな感じ。
筆者も先日、後輩に対する上司の指導を見直してほしい、「できてる面は褒めてあげてほしい」と直接お話したところ、「いや、僕は褒めてるけどなぁ」ととぼける始末。
いや、グチグチ叱責してるとこしか見たことないしって感じです。
日本の社会だと部下との人間関係の築き方を教わる機会も少ないと思うんですよね。
指導のしかたなどを見直す機会がなかなかないというか。
ですが、否定的な言葉をならべても部下がやる気になるわけがないということには気づいてほしいですね。
夫婦、カップルの関係性と違い、立場上、叱責しないといけないこともあるかと思います。
ですが、叱責したあとはしっかりとフォローしましょう。
少なくともこの記事の読者で部下がおられる方は、部下にサラッとポジティブな言葉がけができるように意識してみましょう。
上司と部下の関係性が良好なものになれば、お互いにメリットしかありませんからね。
上司としての不要なプライドは捨てて、前向きな気持ちになれる指導を心がけましょう。
友人関係なら
友人関係におけるゴットマン比はポジティブ8:ネガティブ1。
夫婦、カップルや上司部下の関係よりもかなりポジティブ割合が高いですよね。
これは当然、お互いの関係性によるもの。
夫婦は関係に亀裂が入ると離婚となりますし、基本的に毎日一緒にいなければいけない関係。
上司と部下も、なかなか切りづらい関係性ですよね。
一方、友人の場合は関係性が悪くなれば付き合わなくなるというあっさりした関係。
要するに「ネガティブなことばかりいう人とは一緒にいたくない」と思えば、すぐにその関係性を断ち切られちゃいますよね。
そのため、ポジティブな発言が多い人のほうが人が寄ってくるということ。
反対にネガティブな発言が多い人はどんどん人が離れて、友達が少ないという結果に。
学生だとたくさんの友人からネガティブ発言の多い人を選ばないですよね。
友人関係におけるゴットマン比は8:1ですから、ここまでくると「ほとんど否定的なことは言わない」レベルですよね。
普段は肯定的なことばかり言ってくれるけど、ここぞの時にしっかり注意してくれるくらいの関係性でしょうか。
「その服かわいい」とか「髪色かえたの?すごい似合ってる」といった外見的なこと、「めっちゃいいアイデア」などの内面的なことなど、意識すれば褒めることはたくさんあるはず。
むしろ、あなた自身が一緒にいて心地いいと感じられる相手は、ポジティブ発言が多い人ではないでしょうか。
友達の多い人の発言を注意深く聞いて参考にするのもいいかもしれませんね。
親子の関係を良くするには
親子のゴットマン比はポジティブ3:ネガティブ1。
ここまで紹介したなかで、もっともポジティブ発言の割合が低いですね。
親は子どもができていないところを教育する必要がありますよね。
そのため、3回褒めれば一度は叱ってもいいといった割合。
今回紹介したなかでは肯定的発言の割合が一番低いとはいえ注意は必要。
そもそも子どもの発言や行動に対して「まず否定する」といった親御さんも多いのではないでしょうか。
筆者自身も、気をつけないと「最近、否定的なことばかり言ってる」と、あとで落ち込むことも。
我が家では否定的な言葉がけが多い時は夫婦互いに注意するようにしています。
まだ幼い子どもとの関係性を良好なものにしようとすると、ゴットマン比以上に否定的な言葉をなくすのは当然。
そして否定的な言葉がけや叱責をする際にも、「あなたのことを信じているよ」と感じさせるポジティブな言葉を選ぶことが大切です。
子どもに対する言葉がけについては、以下の記事でくわしく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
ネガティブな噂好きも嫌われる
実は人間関係を悪化させるネガティブな言葉がけ、否定的な発言は、相手に対してのものだけに限ったものではありません。
読者のみなさんの職場や学校にいるかもしれませんが、悪い噂ばかり話している人も嫌われる可能性が高いです。
噂好きの人ってどこにでもいますよね。
当事者でもないし、本人から直接聞いたり確認したわけでもないのに、ペラペラと他の人に話す人。
悪い噂を話すことで「自分はこんなことを知ってる」と、自己顕示欲が強い人。
まわりから認められたい、仲間外れになりたくないという人がやる方法ですが、やり方が間違っていますね。
悪い噂を話すことで、信用をなくすのはその噂の当事者であり、この話を知っている自分はスゴイと思ってもらえると感じての行動ですが、逆効果です。
その噂話を聞かされた人は、悪い噂をペラペラ話したあなたと悪い噂自体とをセットで覚えてしまうからです。
というかそもそも、噂話をペラペラ話す人と深い関係になろうと思わないですよね。
「あの人に話すとどこでもペラペラ喋られるから黙っておこう」と逆に仲間はずれになる危険性もあります。
もしどうしてもその場にいない人の噂話をしたいなら、ポジティブな噂話にしましょう。
話しをされている人の評判が上がるような噂話なら、聞いている人もあなた自身のことを不快に感じないかもしれません。
まぁ噂好きの人がポジティブな話はしないでしょうが。
ゴットマン比実現のための注意点
ここまでゴットマン比を紹介し、ポジティブな発言をするように気をつけようと言ってきましたが、一つ注意点が。
それは「不自然にポジティブな発言ばかりしない」ということ。
ゴットマン比はあくまでネガティブな発言に対してポジティブな発言を多くしようというもの。
ですので、ポジティブもネガティブもない日常会話でもムダに相手を褒めてばかりいると「あやしい‥‥」、「何か裏があるの?」と感じさせてしまうかも。
特に、まだあまり仲良くない友人にまで不自然に褒めてばかりいると「胡散臭い人」と思われるかもしれません。
あくまでも相手に否定的なことを言った場合のフォローや、ネガティブなことをあまり言わないという意識につなげればいいかなと思います。
おわりに
ここまで紹介したとおり、人間関係を良好なものにするためには、あなた自身の発する言葉がとても重量になります。
相手に不快感を与えない言葉選びをすることで、職場や学校での人間関係、夫婦生活、親子の信頼性が格段に改善されます。
そもそもあなた自身、ネガティブなことばかり言う人と長い時間、一緒にいたいと思わないですよね。
あなたと接する相手も同じです。
相手はあなたの嫌味やグチを聞くためにあなたと接しているわけではないことを再認識し、気持ち良い人間関係を築いていきましょう。
なお、ゴットマン博士のコミュニケーション術をより深く学びたいという方は以下の書籍がオススメ。
自己診断的に自分の改善点や対策を学ぶことができるので、生きていく上で重要なコミュニケーション能力を養うのにぴったりの一冊です。