はじめに
こんにちは、ロア(@roa_garnet)です。
読者の皆さんは仕事で文章を書く機会はありますでしょうか?
書く機会がある方は上手な文章を書けている自信はありますでしょうか?
私は仕事で他者の書いた文章をチェックする機会が多いのですが、読みづらい文章というのが結構多いです。
仕事で書く文章は書き上げることが目的になっている場合が多く、十分に推敲されていないと感じる文章が多いです。
かくいう私自身も、あまり時間のない場合にはそうなってしまうこともあります。
あとになって読み返すと不必要に長い文章になっているなど、反省点が見つかることもあります。
文章が不正確だったり不適当だったりすると、せっかく考えた企画や技術の魅力が伝わらず、不採用になるなどの懸念もあります。
本稿では、私がこれまでの社会人生活でかなりの数の技術文章を読んできた感じた文章を書く要点や、私の仕事である建築を含む理系分野の方の文章力を上げるためにおすすめの書籍を紹介いたします。
本稿を読んでご自身の文章を見直され、文章の書き方の改善や、文章力向上のきっかけにしていただければ幸いです。
・特に理系の方で文章力を改善したいとお考えの方
仕事をはじめて気づいたのは大人って文章がヘタ
私の職場は建築の構造設計という仕事柄、理系の人間ばかりが所属しています。
構造設計という仕事は、デザイン側から与えられた条件に基づき、地震や台風といった力に対してどのように建物をもたせるかを計算で算出していくものです。
ただし、構造設計の内容を審査機関に審査してもらうには、計算をまとめた計算書や図面だけでなく、どのようなことを考え、どのように計算を行ったかを説明する文章を添付する必要があります。
大学卒業直後からそのような説明文章を読み、私が感じたのは「大人って文章下手くそやな」ということでした。
建築の分野では、特に中小企業や個人設計事務所に勤める方の文章力が低いと感じています。
頭で考えたことを人に伝える文章にするのが苦手
文章を上手に書けない方には、いくつかのパターンがあると感じますが、以下の3つのパターンが多くみられます。
- 「自分の考えていることは読み手もわかっている」と思っている方
- 「簡潔な文章にまとめることができない」方
- 「そもそも自分の計算に対して、文章でどこを要点に書けばいいのかを掴めていない」方
1.「自分の考えていることは読み手もわかっている」と思っている方の書く文章は、重要なことが書かれておらず、多分一ヶ月もすれば本人もどういう意図で書いていたかを思い出せないのではないでしょうか。
早く書ききってしまいたいという気持ちが強く出ているように感じます。
2.「簡潔な文章にまとめることができない」方の文章は、文字量が多く、読みづらい文章となりがちです。
要点は網羅できていても、同じようなことを二つに分けて書いていたり、不要な言い回しがあったりと、読み手が疲れる文章が多く、書くべきことを整理できていないままに書き始めている印象を受けます。
このような方は構造設計に関する資料の数量も多い傾向にあり、チェックする側は非常に骨が折れます。
3.「そもそも自分のやったことに対して、どこを要点に文章を書けばいいのかを掴めていない」方の文章は、中身がスカスカなことが多いです。
計算の中身は理解されているので質問をすれば答えていただけますが、文章には書かれていません。
読み手のことはあまり考えていないように感じます。
構造設計は、設計者が考えたことを説明する文章がなければ、図面や計算書を見慣れている方でも理解が困難です。
それにも関わらず、文章が苦手な設計者が多く、驚くばかりです。
結局は要点と主語・述語じゃないの?
私が構造計算に対する説明文を書く際には、まず書くべき事項を整理します。
その時点で要点をおさえ、記載すべき事項の抜けはないか、重複していることはないかなどをチェックします。
次に、各文章を書いていきますが、おさえるべきは主語が何で述語が何か、ということです。
理系の文章は複雑な説明になりがちで、主語に対して述語があっていないという文章をよく見かけます。
それらしい文章でも「主語がこれなのに述語がこれっておかしくない?」と思ってしまう文章です。
書いている本人も途中で主語が何かを忘れ、そのまま書ききってしまっているようです。
何のこと(主語)に対して、何である(述語)ことを説明したいのかを整理した上で、文章を書き始めるべきでしょう。
文章を書き終えれば読み直し、修飾語の足し引きをしていきます。
極力簡潔な文章を目指しますが、技術的な資料の場合、あえて余計な文章を加えたほうが説明が理解しやすい場合もあるので、全体に目を通すべきでしょう。
建築の構造設計を例に説明していますが、ここに記載している内容は、どのような文章でも共通する内容のはずです。
1つの文章が長くなった時はどこかで一度切れないか、余計な文章はないか、その文章の本質は書けてるか、ということを考えながら文章を推敲していけば、読みやすい文章になっていくでしょう。
おわりに
理系の技術的な説明文章については、経験も必要ですが、書き始める前にどれだけ整理できているかによって、文章の質はかなり改善されるはずです。
参考になるのが中公新書から出版されている「理科系の作文技術」です。
この書籍では、文章の組み立てや簡潔な表現のためのノウハウだけでなく、説明書や論文、講演原稿の書き方なども載っており、非常に参考になります。
理系の方に限らず、プレゼンの機会がある方などにもおすすめできます。
ご自身の文章力を改善したいとお感じの方は読んでみて損はないと思います!