革靴を買おうと思ったときに「ラスト(木型)」という文字を目にしたことのある方もおられるのではないでしょうか。
革靴の愛好家だったり、高価な革靴をお持ちの方でもなければ「気にしたことない」、「見たことあるけど何かわからない」という方も多いかもしれませんね。
革靴のラストとは「靴の形状を決める土台」のことで、ラストのことを少しでも知っておけば、ご自身にあった靴を選びやすくなります。
この記事では、コスパが良いと評判で筆者も愛用しているスペインのレザーシューズ「Berwick1707(バーウィック)」のラストについて解説、比較しています。
これから本格革靴を買いたいと思っている方やバーウィックのレザーシューズが気になっているという方の靴選びの参考になれば幸いです。
ラスト(木型)とは
ラスト(木型)とは靴の形状の元となる土台のことです。
靴づくりでは、最初にどのようなラストを使うかを決め、それに合わせて革の裁断などが行われます。
また、裁断し、縫製などの加工が済んだレザーをラストに押し当て、靴の形状に整形していきます。
そのため、どのようなラストを使用するかで裁断する革や仕上がった靴の形状が異なり、それが靴の個性につながります。
ここではビジネスや冠婚葬祭など、フォーマルなシーンで使用されることの多いストレートチップのモデルを2つ比較してみました。
ひとつめは「156」のラストを使ったストレートチップ4472。
「156」は幅、長さ、フィット感のバランスのとれた万能型のラストです。
つま先の形状もバランスよいラウンド型です。
一方、下は「129」のラストを使ったストレートチップ2428。
「129」はつま先部分にすこし伸びのあるロングノーズと呼ばれるフォルムでシャープな印象を受けます。
横から見た際の足の甲からつま先にかけてのカーブもシャープさを引き立たせています。
つま先の形状は先に紹介した「156」のラストとは対照的にスクエア型となっています。
このように、同じストレートチップでもラストの違いによって形状は様々。
それが靴の個性につながるため、人によって自分の足型や好みによって靴を選ぶことができます。
日本人の足型
スペインで生まれたバーウィックですが、欧米人と日本人では足型の特徴が異なります。
そのため、スペインで展開されているラストがすべて日本展開の製品に使用されているわけではありません。
足の形は指の長さや全体的なフォルムで分類することができます。
指の長さに関しては、大きく3つのパターンに分かれるとされています。
・エジプト型:親指が一番長く、日本人に多い形。
・ギリシャ型:親指よりも人差し指が長く出て、欧米人に多い形。日本人ではエジプト型に次いで多くみられる。
・スクエア型(ポリネシア型):全体的に長さの差が小さい。
エジプト型やスクエア型の足は、ギリシャ型に比べて小指が靴に当たりやすいため、あまりシャープな靴だと圧迫感を感じやすいとされています。
また、日本人は足の甲が広く、カカトが細い傾向にあります。
一方の欧米人はカカトが広いため、足の甲との差が小さく、日本人に比べて長方形に近いフォルムが多いようです。
これは農耕民族と騎馬民族、狩猟民族といった歴史的な暮らしの違いが影響していると考えられますが、バーウィックでは日本人にあったラストの製作も行われています。
バーウィックのこだわり
日本展開の木型だけで約40種
バーウィックは100種以上のラストを使い分け、靴の製造を行っています。
日本で展開されているだけでも約40種のラストが存在します。
ラストの種類によってフォーマルなものやカジュアルなものなど、靴の印象は大きくかわります。
主要な製品が2,3万円代という価格帯でありながら、これだけの種類のラストを使い分けているのは、購入者としてはとても嬉しいポイントです。
日本人用のラストも製作
日本で展開されているラストが多いだけでなく、日本人用に作られたラストも存在します。
それがミレニアルラストやジャパンラストと呼ばれる「261」と「262」。
日本人に多い足型にあわせ、カカトは小さく、甲は高さと幅をもたせたフォルムになっています。
「262」はスリッポン向けに作られた日本オリジナルのラストで、バーウィックの中でも人気の「ローファー」に使用されています。
一方の「261」はストレートチップやウイングチップなど、様々なモデルに使用されています。
ラストの紹介
ここからはバーウィックの40種近くある日本展開のラストのうち、2021年8月時点で通販サイトなどでとり扱われているラストについて、スリム、ノーマル、ワイドの別に紹介していきます。
同じデザインでもラストが異なれば印象も大きくかわりますので、ラストのことが少しでもわかればより自分にあった靴を選ぶことができます。
スリムタイプ
スリムタイプのラストは2021年8月時点、Berwick Japan online storeにおいて以下の3種類が展開されています。
あなたが普段の靴選びで「足型が細いかも」、「もっとフィットするものがほしい」とお感じであれば、こちらのラストに対応した製品を選ぶべきかもしれません。
- 128(Uチップ)
- 240(ローファー)
- 915(人気のマヨルカラスト)
128
こちらはUチップ用のラスト。
足型が細めでUチップをお探しであれば、まず検討すべきラストですね。
Uチップのフォルムがきれいに見えるよう、つま先が少し長めになっており、仕上がりがとても自然な印象を受けるラストです。
240
スリッポン(ローファー)向けに作られた細身のラスト。
スエード素材のタッセルローファー(甲部分に房飾りがあしらわれたローファー)に使用されており、とても上品な印象を受けます。
915(マヨルカラスト)
少しつま先を長く設定しつつ、甲の高さがおさえられていることで密着感が得られ、非常にきれいな形状になります。
「マヨルカラスト」と呼ばれるスリムタイプのなかでも人気のラストです。
ストレートチップ、プレーントゥ、ウイングチップなど様々なモデルに用いられていますが、通販サイトではあまり取り扱われていないのが残念です。
ノーマルタイプ
ノーマルタイプのラストは2021年8月時点、Berwick Japan online storeにおいて以下の13種類が展開されています。
- 08(ローファー)
- 156
- 177(サイドゴアブーツ)
- 184
- 195(ストレートチップ(セミブローグ))
- 234
- 244
- 246
- 255
- 261
- 262(ローファー、日本人オリジナルラスト)
- 437
- 960(ストレートチップ(セミブローグ))
以下では通販サイトでも購入できるものを紹介しています。
08
きれいな仕上がりのためにスリッポン用(ローファー)用に作られたラスト。
定番のスリッポンラストとされており、多くのローファーに使用されています。
もし「ローファーが欲しいけどジャパンオリジナルラストの262があわない」という方や「通販サイトでローファーを買いたい」という方はこちらのラストがおすすめです。
バーウィックのコインローファーについて、サイズ感などの詳しい情報を知りたい方は以下の記事をご参照ください。
156
バーウィック ビジネス 3010-K1 ブラック Berwick 初回交換無料
バランスの取れた万能型のフォルムとされており、ストレートチップやプレーントゥ、チャッカブーツなど様々なモデルに対応しています。
少し丸みをおびたフォルムはビジネスシューズをお探しの方にぴったりではないでしょうか。
177
バーウィック BERWICK サイドゴアブーツ 303 BOXCALF ブラック【ドレスシューズ 革靴 ビジネスシューズ メンズ インポート】
幅と甲高にややゆとりを持たせたフォルムとされており、主にサイドゴアブーツに使用されています。
サイドゴアブーツの形がきれいに見えるよう、つま先がバランスよい長さとなっています。
もしサイドゴアブーツをお探しであれば、まず検討すべきラストですね。
184
プレーントゥやウイングチップに使用されているラスト。
バランスの良い丸みをおびた形状で、シャープすぎずコーディネートしやすいフォルムといった印象です。
246
バーウィック Berwick キャップトゥ 5034 ディアマンテ ソール (ブラック)
ストレートチップやウイングチップに用いられているラストです。
若干スクエア型のつま先のフォルムが特徴です。
255
Berwick ブーツ/446CHBKXL バーウィック シューズ ショートブーツ/ブーティー ブラック【送料無料】
シルエットがきれいになるよう、つま先に丸みを持たせ、長さをおさえたラストです。
甲まわりにゆとりを持たせたフォルムでサイドゴアブーツやダブルモンクストラップのモデルに用いられています。
261(ジャパンラスト)
バーウィック Berwick ウイングチップ 5278 ヴィブラム ソール (バーガンディ)
日本人向けに開発されたジャパンオリジナルラストのひとつ。
カカトを小さく、甲は広くなっており、日本人に多い足型に合わせたラストです。
ストレートチップやウイングチップ、プレーントゥなど幅広いモデルに使用されていますが、通販サイトではあまり扱われていないのが非常に残念です。
262(ジャパンラスト)
バーウィック BERWICK タッセルローファー 8491-K4 ガラスレザー ブラック【ドレスシューズ 革靴 ビジネスシューズ メンズ インポート】
日本人向けに開発されたジャパンオリジナルラストのひとつ。
日本人に多い足型に合わせカカトを小さくしたローファー専用のラストです。
こちらも通販サイトではあまり扱われていないのが残念です。
437
カカトが小さめに作られたラスト。
ラウンド型のつま先でバランスがよく、主にローファーやUチップに使用されています。
ワイドタイプ
ワイドタイプのラストは2021年8月時点で以下の3種類が展開されています。
- 151(スニーカー)
- 217
- 223
以下では通販サイトでも購入できる217を紹介しています。
217
つま先の長さをおさえ、つま先はラウンド型でカジュアルな印象のラストです。
Uチップやローファーなどもモデルに使用されています。
通販サイトならサイズ交換できる店舗を
ここまでバーウィックのラスト(木型)について製品を交えて紹介してきましたが、実際に履いて試したという方も多いはず。
ですが残念ながらバーウィックの実店舗は日本ではまだまだ少なく、関東や関西などに限られます。
そのため「試着ができない」という方が多いのが現実かと思います。
そんな方におすすめなのがネット通販でサイズ交換に対応してもらえる店舗の利用です。
ここでだいたいのサイズ選びの感覚を把握し、もし多少サイズ合わないようであればサイズ交換に応じてもらえるので、通販サイトでも安心して購入できます。
もしご自身のサイズ感がわからないという方は、以下の記事をサイズ選びの参考にしてみてください。
おわりに
バーウィックに関しては、筆者自身、一度履くとそのコスパの良さに非常に魅了されています。
通販サイトでも交換無料で対応してもらえるのはとても嬉しいポイントですね。
バーウィックに関しては通販サイトでもコスパの高さや履きやすさを評価する声が多く聞かれます。
「近くに店舗がない」という方はサイズ交換対応の通販店舗で購入されていはいかがでしょうか。
本当によい製品と感じたので、この記事を読んで「バーウィック買ってみようかな」と思ってくださる方が1人でもおられれば幸いです。