皆さんは仕事の企画提案や研究テーマのアイデア出しに行き詰まったとき、何か解決方法をお持ちでしょうか。
少し時間を置く、別のことをしてリフレッシュする、とにかく関連することを書き出すなど、人によって様々な方法があるかと思います。
また、明確な解決方法を持たず、モヤモヤしたままで期限を迎える方もおられるでしょう。
発案のことばかり考えていると、案外、お風呂に入っているときや寝る前なんかにポッとアイデアが浮かんだという経験がある方もおられるかもしれません。
ただし、何か明確な方法をお持ちの方は案外少なく、行き当たりばったりで「思いつく時はいいけど、ダメな時は全然ダメ」という方も多いのではないでしょうか。
毎回「何も思いつきませんでした」ってのも辛いですよね。
筆者は数年前に受講した外部研修で、アイデア出しに関する考え方やディスカッションの方法を学ぶ機会をいただきました。
その中で教わった「オズボーンのチェックリスト」というアイデア出しの方法が面白く、かつ実用的だったので今回紹介させていただきます。
筆者自身、仕事での研究ごとや新規事業の立ち上げなどに際してこの方法を利用し、案外面白いアイデアを発案することができました。
アイデアの捻出に苦労されている方や新しい視点のアイデアが欲しいとお考えの方の参考になれば幸いです。
・アイデア捻出に行き詰まっていて解決のヒントが欲しい方
オズボーンのチェックリストとは
「オズボーンのチェックリスト」とは、アメリカのオズボーン氏が提案したアイデア捻出のための9つの考え方です。
天才と呼ばれる方はこの方法を頭の中で無意識に行なっているようです。
ですが多くの人は無意識にはできていないため、この方法を意識して取り入れることで、アイデアの幅が広がること間違いなしです。
オズボーンのチェックリストの考え方は、以下の9つです。
4.拡大 5.縮小 6.代用
7.置換 8.逆転 9.結合
ここからは、それぞれの考え方を解説していきます。
転用
「転用」とは、今あるアイデアなどに対し、「新しい使い方はないか」、「他の分野での使い道はないか」という考え方です。
自分の分野で「何か使えるものないかな」と苦労して探していることって、案外、他の分野だと当たり前に取り入れられていることもあります。
逆に自分の分野では当然のことが他分野だと画期的であることもあるでしょう。
私の専門の建築では行われてないことでも土木だと当たり前ってことなんかがあります。
すでにある技術や企画に対し、別のことに使えないかと探ってみると、面白いアイデアが生まれるかもしれません。
自分の発案を他の方に紹介することで協力できることがあるでしょうし、あまり自分には関係ないと思っていたプレゼンを聞くことで予想外の発見が得られるかもしれません。
また、他分野の方との交流により、自分が持っていないアイデアをもらえることもあるでしょう。
応用
「応用」は、「他のアイデアを応用できないか」、「似た商品のアイデアを使えないか」という考え方です。
似た商品のアイデアを使うというものは、案外、見落としている場合があります。
例えば、同じようなアイデアがすでにあるのにスケールが違うために見落としていたり、用途が異なるために気づかなかったりというケースです。
そもそもの用途は違うものから意外なヒントが得られるかもしれません。
柔軟な視点でものを見ることで、「この方法ってあれに使えるかも」と気づけることがあるかもしれません。
変更
変更とは、「見た目を変えれないか」、「意味を変えれないか」という考え方です。
当たり前ですが、見た目、視覚が人間に与える影響って非常に大きいですよね。
性能が良くても見た目が悪ければ、性能が劣っていても見た目の良い製品のほうが売れるケースもあるでしょう。
製品のパッケージなどは売れるためには非常に重要です。
見た目を変えるということであれば、デザイン、色、形など、様々なアプローチが取れるかと思います。
また、感触や香り、音、味など、人間の五感を刺激するものであれば、変更の余地があるかもしれません。
古い製品でも見た目をリニューアルすることで、新たに購入する人が出てくるはずです。
性能の良いものは、見た目を変えることで売り続けることができるかもしれません。
私の好きな漫画「スラムダンク」なんかは何度もリニューアルされてます。内容を変えなくても表紙やパッケージを変えるだけでも効果ありです。
また、視点を変えるということでは、実用上は問題のない欠格品を集めて通常より安く売るアウトレット商品などが考えられます。
本来高く販売されるブランド品に対し、「訳あり品だけど安く売りますよ」というのは「その方が手が出しやすくて買いたくなる」という消費者のニーズには合っていますよね。
拡大
拡大は、「大きくできないか」、「地域を広げれないか」といった考え方です。
企画や研究を進めていくと、一つのことに着目しすぎて、全体を見失ってしまう場合があります。
視界が狭くなっていると感じたときは、一度ものごとを大きく捉えることで新しい発想が生まれるかもしれません。
「俯瞰で見ると」なんてよく言いますよね。
また、その製品自体を大きくする、長くする、太くするといったサイズ感自体を変えることでも新たな使い道が生まれるかもしれません。
地域を広げれないか、という意味であれば付加価値を付けるなどしてターゲットとする客層を広げるというのも効果的でしょう。
例えば現在であれば「鬼滅の刃」とコラボして本来の客層ではない子ども達や若い女性を集客する店舗などが思い浮かびますね。
縮小
縮小は、「小さくできないか」、「機能を減らせないか」という考え方です。
電化製品などは、常に小型化、軽量化が求められています。
そのような場合、今ある機能を見直すと、案外不要な部分があり、その部分を省くことでさらに小型、軽量化できるというケースもあります。
何が必要なのか、不要なものはないかといった、その製品の本質を考えることで、よりよいものづくりができるかもしれません。
不要な部分を省いていくことでコストダウンにも繋がりますよ!
またサービス業でも、当たり前のように行われていることを見直し、「このサービスを省くことで安く提供できるのでは?」といった視点で考えるのもよいでしょう。
例えばガソリンスタンドやスーパーのレジのセルフ化、資格教室などのオンライン化などは人件費の削減につながるはずです。
サービスは最低限でも安い方がいいって人は多いですからね。
先述の「拡大」とは反対に客層を縮小し、求められるサービスに特化するという方法も有効かもしれません。
代用
代用とは、「他のもので代用できないか」、「他の素材で代用できないか」という考え方です。
「この部分にこういうものを使いたいけどいいものがないかな」と探しているときは、意外と身近なもので解決できる場合があります。
「こんな器具がほしかったけどサランラップで巻くだけでいけるやん」とか「輪ゴムで固定するだけで上手くいけた」といった具合です。
商品開発などに用いる部品などでは固定観念をなくし、「この部分をこれで代用すれば上手くいくかも」という柔軟な発想により前進できる場合もあります。
「この部分にこんなのが欲しいんやけど」って他の人に相談するのもありです。
食品アレルギーをお持ちの方に対して、本来の材料とは別の材料で代用するなんて方法は一般的ですよね。
そのような方法は他の分野でも十分に使える発想です。
置換
置換は、「配置を入れ替えれないか」、「順序を入れ替えれないか」という考え方です。
配置って一度に決めてしまうと、あとから変えようと思っても最初のイメージが脳に貼り付いてなかなか変えられなかったりしますよね。
少し入れ替えるだけで上手くいく場合もありますが、大幅な入れ替えが必要な場合もあります。
その場合は一度バラバラにしていろいろと入れ替えてしまうのがよいでしょう。
少しでも前の形が残っていると、それに引きづられる恐れがあるので、まっさらな形から入れ替えを考えることで、新しいひらめきを得られるかもしれません。
また、プレゼンテーションでは、説明の順序を少し入れ替えるだけで、内容が見違えるほどに改善されるケースがあります。
また言葉を言い換えるだけでも聞きやすく、理解しやすくなる場合もあります。
主観だけでなく、客観的な視線を持って、最適な配置や順序を試行錯誤するのが良いでしょう。
プレゼンテーションなんかは少し時間を置くと「こっちを先に説明した方が理解してもらいやすいかな」と気づけることが多々あります。
逆転
逆転はその名のとおり「順序を逆にできないか」、「考え方を逆にできないか」という考え方です。
逆転の発想ってよく言いますよね。
考え方を逆にするというのは、当然と思っていることを疑ってみる、逆の立場で考えてみるなど、様々な逆転があります。
逆の目線で考えることで、問題点が見えてくることもあるでしょう。
形あるものであれば、上下や前後を逆にするだけで、面白いアイデアが生まれるかもしれません。
また、リーズナブルが求められる時代に、高級志向なグルメがヒットするケースも逆転の発想ですね。
作り手目線じゃなく使い手目線で考えるのも非常に大切です。
結合
結合は、「何かと組み合わせられないか」、「真逆のものと組み合わせられないか」という考え方です。
今あるアイデアの二つのいいところを組み合わせる、一つのアイデアの欠点を補完できる別のアイデアを組み合わせるといった考え方です。
様々なアイデアを捻出していったのちに、「これとこれを組み合わせればすごくいいんじゃない?」といった感じですね。
まずは弱点、欠点を補ってくれるものと結合できないか考えてみては!
今の時代だと、スマートフォンに様々な機能が結合されていっていますよね。
おわりに
アイデアを考える時ってどうしても行き詰まることがあると思います。
決まったツールを持っていなければ行き当たりばったりで「今回は結局何もアイデアが出なかった」ということもあるかもしれません。
そんな方も案外、今あるアイデアを組み合わせたり、逆転の発想を使ったり、身近なところで違う材料を使ったりすることで前進できることがあります。
固定観念に捉われないことが重要かもしれません。
研究職の方なんかは他の人の研究を見るとヒントが得られることもありますよ!
あとは十分な睡眠をとり、頭が常にすっきりした状態であることも大切ですね。
アイデアを考えたいのに睡眠不足じゃ頭が回らないでしょ。
行き詰まった時は十分に睡眠し、この「オズボーンのチェックリスト」を試してみてはいかがでしょうか。
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