【レビュー】ミルキー杉山のあなたも名探偵。対象年齢やあらすじは？

子ども向けの推理モノとして出版されている「ミルキー杉山のあなたも名探偵シリーズ」。
偕成社から1992年に出版され、2022年現在まで30年にわたり続いている人気作品です。
我が家でも、小学生の長女が夢中になって読んでいます。

この記事では、「ミルキー杉山のあなたも名探偵シリーズ」に関してあらすじや対象年齢、おすすめ作品などを紹介しています。
また、このシリーズがなぜ30年も続くほど小学生に人気なのかってあたりも解説しています。

本作が気になってるけどまだ手に取ったことがない、ミステリーならうちの子どもも楽しめるかなって方は、ぜひ参考にしてみてください。

あなたも名探偵シリーズとは

概要、著者

「あなたも名探偵シリーズ」は、1992年より偕成社から出版されている探偵モノの児童書です。
2022年現在も最新刊が出版されており、児童書として30年にわたり子どもたちに愛されている作品です。

各巻、150ページ程度で構成されていますが、イラストも多く、子どもでも読みやすい構成となっています。
価格は各巻とも1,000円（税別）となっています。

作者は杉山亮（あきら）さん。
道灌山学園保育専門学校を卒業後、1976年から約10年にわたり、保育の仕事に従事されています。
その後、個展を開催するほどのおもちゃ作家として活動され、1992年より本格的に作家として活躍されています。

探偵モノを中心とした児童書だけでなく、「子どものことを子どもにきく」などの一般書も執筆されるなど、子どもに携わる作品を多く世に生み出されています。

また、イラストは中川大輔さんが担当。
男の子、女の子問わず、多くの子ども達が受け入れやすい愛嬌のあるイラストを描かれています。

あらすじ

物語の主人公は探偵の仕事をしているミルキー杉山。
2人の子どもと暮らす中年のおじさんといった感じ。

奥さん（たつ子）はいますが、わけあって別居しているとのこと。
たつ子は保育士の仕事をしており、物語に頻繁に登場するキーパーソンです。

探偵に憧れる中年の主人公が街での人さがしや泥棒事件などといった様々な事件を解決していきます。
子ども向けの書籍ですので、殺人事件のようなシリアスなものはなさそう。

各巻には2つ〜4つのお話が収録されています。
また、それぞれのお話は「事件編」と「解決編」の前後半にわかれていて、子どもでも読みやすい、わかりやすい構成となっています。

対象年齢は年長さんから小学校中学年くらい

対象年齢ははっきりと書かれていませんが、私の感想としては年長さんから小学校中学年といった印象。

推理モノの児童書で、各巻150ページほどとなっていますが、各ページにイラストも多いため、本が好きなお子さんであれば年長さんくらいから読めるでしょう。
文章量としては小学生中学年くらいの印象ですが、物語や登場人物がおもしろいので、高学年のお子さんや大人でも気軽に楽しめる作品と感じます。

ちなみに小学生の女の子の読書のきっかけとしては、「ルルララシリーズ」や「ひみつの魔女フレンズシリーズ」もオススメ。
ミステリーものではないですが、ハマれば読み続けられるシリーズ作品です。
気になる方は以下の記事もチェックしてみてください。

子どもが夢中になる理由

ミステリーは子どもも大好き

園児さんにおしり探偵が人気だったり、漫画だと名探偵コナンが長きにわたって人気を博していたりしますよね。
また、大人の世界でもガリレオのようなミステリーが書籍やテレビドラマで人気だったりします。
推理モノ、ミステリーは大人も子どもも好きなんですよね。

今まで推理モノに触れてこなかった、見たことがあるのはおしり探偵くらい、という子どもにとっては「あなたも名探偵シリーズ」のトリックが新鮮でおもしろいようです。
我が家の長女も毎回読むたびに「これすごいんやで！」と、物語のあらすじやトリックを嬉しそうに紹介してくれます。
我が家の長女は児童書をたくさん読んでいるほうと思いますが、そんな長女でもこの作品は特におもしろいようです。

子どもでも見破れるトリックも

子どもが夢中になる理由の一つに、子どもでも考えれば見破れそうなトリックが挙げられます。

本編は「事件編」と「解決編」の前後半にわかれていますが、解決に至るまでにヒントなども散りばめられています。
そのため、子どもも読みながら考える時間があり、なんとなく想像できるトリックも頻繁にでてきます。

考えてもわかるはずない、解決の話を読んでも理解できない、という感じでは子どもは夢中になれないですよね。
子どもでもわかりやすい、ちょうどいい感じのミステリーというのが30年にわたって人気を誇っている要因の一つかと思います。

ちなみに、大人なら「こういうことじゃない？」とイメージできる物語が多いですが、時折、難易度の高いトリックも入っていて、親御さんも一緒に読んで楽しめる作品です。

個性豊かな登場人物

「あなたも名探偵シリーズ」では、個性豊かなキャラクターが物語を彩ってくれます。
子どもが物語の紹介をしてくれると「だれやねん笑」とつっこんでしまうヘンな名前のキャラクターもたくさん登場します。

主人公のミルキー杉山は、まさに探偵といった雰囲気のコートをいつも羽織った中年のおじさんという感じ。
著者の杉山先生ご自身がモデルでしょうか？
探偵の仕事だけでは子ども達を養っていけず、バイトをしている姿も頻繁に描かれるなど、リアルな中年として描かれています。

別居中の妻のたつ子は、保育園の先生。
推理に行き詰まった杉山が相談にいくシーンが頻繁に描かれていて、この物語の謎の多くはたつ子の推理やヒントで解決に至っているような印象。
杉山いわく「わけあって、わかれてくらしているが、はっきりいって、おれよりあたまがいい」とのこと。

杉山の探偵仲間として「いつのまにか名探偵」から登場しているのがボウズすすきだ。
我が家の長女がよく「パパ！ボウズすすきだって知ってる！？」と紹介してくれるインパクトのある名前と風貌。
火炎噴射が特技でプロレスの試合にも出場経験があるという強烈な個性をもった探偵です。

同じく「いつのまにか名探偵」から登場している探偵仲間がツルまつの。
狙ったマトに必ず当てるというナイフ投げが得意な探偵。
パワフルなボウズすすきだと対照的な、クールな印象のキャラクターです。

どろぼうキャラとして登場するのがミス・ラビットという女どろぼうと怪盗ムッシュという世界でも有名な大どろぼう。
ミルキー杉山と敵対するキャラクターとして何度も登場し、物語を盛り上げてくれます。

他にも様々なキャラクターが登場しますが、中川大輔さんの絵のタッチもあり、みんな個性豊かな人物ばかり。
キャラクターの個性的な名前も子どもの心を掴むのに一役かっているようです。

子どもたちの評判は？

初版の発売から30年が経過する作品ですが、今の子どもが読んでも面白いようです。

30年続いているシリーズということで、子ども達に長らく評価されてきた作品であることは言うまでもありません。
また、文字ばかりではなく、イラストも多用されているため、読書が苦手なお子さんでも読みやすい作品となっています。

前半の「事件編」と後半の「解決編」が明確に分かれているため、子どもは「誰が犯人だろう」と考えながら読めて楽しいみたい。
ミステリーって大人でもドキドキとしながら読み進められますよね。
このシリーズは一つ一つのお話が長すぎず、子どもでもテンポよく読めるため、犯人探しのドキドキ感が子どもに愛される理由の一つになっています。

通販サイトのレビューなどを見ると、「なかなか本を読まない子どもが初めて最後まで読んだ一冊」などとの声も見られます。
また、我が家の長女は本を読むのが好きなタイプですが、本好きな子どもでもこのシリーズはとても面白いらしく、何度も読みなおしたりしています。

ちなみに子ども向けの探偵モノといえば、おしり探偵が爆発的な人気を誇っていますよね。
小学校中学年の我が家の長女いわく、「おしり探偵はもっと子どもっぽい」とのこと。
園児さんならかわいいキャラクターがたくさん登場するおしり探偵のほうがオススメですが、自分で本読みをされるお子さんになると、「ミルキー杉山のあなたも名探偵シリーズ」のほうが楽しめるようです。

シリーズ紹介

「ミルキー杉山のあなたも名探偵シリーズ」は2022年5月現在、25作品（ガイドブックを含む）が出版されています。
ここでは、これから読まれる方へのオススメの作品をいくつか紹介していきます。

記念すべきシリーズ一作目！「もしかしたら名探偵」

シリーズ一作目は「もしかしたら名探偵」。
この名前のように、本シリーズは「○○○名探偵」って感じの名前がつけられています。

本作はシリーズ一作目ということで、本シリーズを最初から読んでみたいというお子さんはまずこの作品から。

「４人のへんなきゃく」、「うそつきはだれだ？」、「きえたダイヤモンド」の3事件が収録されています。
親子で一緒に読んでみて「こんな感じかぁ」と作品の雰囲気を掴むのに、ぜひこの作品から読まれてみてはいかがでしょうか。

定番キャラが続々登場！「いつのまにか名探偵」

二つ目に紹介するのは、シリーズ二作目の「いつのまにか名探偵」。
本作には「夜空をあおいで」、「3だいの赤い車」、「毒ワニさかだち」の3事件が収録されています。

シリーズ一作目の「もしかしたら名探偵」よりもトリックが洗練されている感じで、大人としては一作目よりも面白い印象を受けました。

ボウズすすきだやツルまつのといった、その後に定番キャラとなる個性的なキャラクターも登場するので、とてもオススメの一冊です。

怪盗ムッシュが登場！「あしたからは名探偵」

次に紹介するのはシリーズ三作目の「あしたからは名探偵」。
「かめのコーラ」、「怪盗ムッシュ」の2つの事件が収録されています。
我が家の長女的には「かめのコーラめっちゃ面白いよ！」との評価。

読者さんのなかには、これまでの二作品に比べて「難易度が高め」と評価されている声も見られます。
一作目、二作目を読んで、徐々に難しい謎解きにチャレンジできるのが子どもにとっては楽しいみたい。

事件名にもあるように、怪盗ムッシュがはじめて登場する作品です。
怪盗ムッシュはこのあともちょくちょく登場するキャラクターですので、ぜひ読んでおきたい一冊ですね！

ミス・ラビットが登場！「なんだかんだ名探偵」

4つ目に紹介するのは、シリーズ6作目の「なんだかんだ名探偵」。
「ありのぎょうれつ」、「わさびをいれるな」、「きえたうんてんしゅ」の3事件が収録されています。

「きえたうんてんしゅ」では、ミス・ラビットが初登場します。
大人からすれば簡単に推理できるものでも、子どもにとっては新鮮なようです。
「パパわかる？」の質問に対して「こうやったんじゃないの？」と答えると「パパすごい！」と、この作品も親子で楽しめます。

ミス・ラビットはこのあとも登場するどろぼうキャラ。
美人なお姉さん設定ですので、とくに女の子の読者には人気のキャラクター。
気になる方はこの巻から読んでみてください。

シリーズ最新作！「おかげさまで名探偵」

2022年5月現在のシリーズ最新刊は、今月発売される「おかげさまで名探偵」。
シリーズ24作目となります。
「商店街ばくだん事件」、「ぴょんぴょん時計」、「市民ホール連続スリ事件」の3事件が収録されています。

24作目となりますが、あいかわらず探偵のかたわらバイトに勤しむミルキー杉山。
バイトの面接にむかった商店街などでの事件に巻き込まれます。

シリーズも30年に入り、より洗練されたストーリーやイラストを楽しむなら、最新作の「おかげさまで名探偵」がオススメです。

あなたも名探偵ガイドブック

こちらも2022年5月に発売される「あなたも名探偵ガイドブック」。
こちらは普段の物語ではなく、「あなたも名探偵シリーズ」のガイドブックとして初めて出版されるものです。

人物紹介や読者にぴったりの巻がわかるチャート診断、ファン度が試されるミルキークイズ、杉山先生への質問など、様々な内容が掲載されています。

もちろん謎ときのページも充実。
ツルまつの、ボウズすすきだ、たつ子、ミス・ラビットがそれぞれ主役となった事件簿4つも収録されているため、とてもお買い得な一冊となっています。

今まで「あなたも名探偵シリーズ」を読んだことのないお子さんも、この本で登場人物や自分にぴったりの巻を把握して、他の作品を読んでいくのもオススメですよ！

おわりに

「ミルキー杉山のあなたも名探偵シリーズ」は、シリーズ一作目から30年がたつにもかかわらず、今の子どもも夢中になれる作品です。
我が家の長女も、一冊読むとどんどんと他の作品にも興味をもち、次々といろんな作品を読んでいます。

お子さんがあまり本をあまり読まないというご家庭や、この作品を見たことないけどちょっと気になるなというご家庭は、ぜひ一冊手にとってみてください。
お子さんの読書のきっかけとなる一冊になるかもしれませんよ！

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