仕事の目標設定のコツは世界企業アマゾンに学ぶ

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年度がかわるごとに、社員それぞれが1年間の目標を設定する会社も多いのではないでしょうか。
「今年度はこうゆうことをしたい」と前向きにとらえ、チャレンジングな目標をしっかりと立てる方もおられますよね。
ですが、「もう思いつかないから去年と同じでいいや」、「めんどくさいなぁ。こんなの意味ないでしょ」と感じている方のほうが多いのが現実かと思います。

筆者の会社でも年度ごとに部署の目標が設定され、その目標を達成するために、個々人が何をすべきか考えて目標設定を行っています。
そこで参考にしたいと思ったのが、世界の企業の時価総額でTOP5に入る巨大企業、アマゾンの目標設定の方法。

この記事では、世界的な大企業となった今も毎年の売上高を20%以上伸ばしつづけるアマゾンの目標設定のコツを書籍「amazonのすごい人事戦略」から紹介していきます。
1年間の明確なゴールを設定することで、毎年の成長が感じられ、人生がより充実したものとなること間違いなしです!
部下の目標を評価したり、部署の目標を設定する上司の方にも参考になりますので、ぜひ最後までお付き合いください。

この記事の対象読者

・仕事の目標設定のコツを知りたい方
・仕事の目標設定なんてめんどくさいなぁと感じている方
・部下の目標への評価をくだす方

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仕事での目標設定の必要性

仕事での目標設定に関しては、私も会社で勤めていると「この子はやる気ないんだなぁ」と感じることも多々あります。
一方で、「さらっと書いてるけど、目標が明確でそれなりに高いハードル設定してるな!」と感じさせられる若手がいることも事実です。

ここでは私の会社で見られた目標設定に対する悪い例を紹介するとともに、目標設定の必要性を解説していきます。

筆者の会社での悪い例

私が「これはマズい」と感じさせられた目標設定は「毎年ほとんど同じ」、「まったくチャレンジングでない」、「OJTで済むことばかり」といったものです。

このような事例は、同じ部署に長く所属している方のように、例年とやるべき仕事が大きく変わらない方に多いように感じます。
「去年のコピペでいいや」、「ここだけちょっと書き方変えておこう」くらいの意識でされているのだと思います。

以前、私が後輩に対して目標設定に関するヒアリングを行った際、「少し目標が多すぎない?大丈夫?」と聞いた際の回答にショックを受けてしまいました。
彼の回答は「大丈夫ですよ。1つ目の目標はこの業務を何件やりましたって書けば数字で出せますから。2つ目もそんな感じですね。」というもの。
「それって託された仕事をただこなしてるだけでしょ」と感じ、後輩の目標に対する意識にがっかりしたことは言うまでもありません。

目標は今の自分を成長させるもので、簡単には達成できないけど努力すればしっかりと達成できる可能性があるくらいでないと意味がありません。
OJT(On the Job Training)で、いつもと同じように仕事をこなしていれば達成できるというものでは成長にもつながらず、同僚との差がひらくばかりです。
さらに若い後輩にも追い抜かれて「あの人ぜんぜんダメなんだよね」と陰口を叩かれてしまうことにもなりかねませんよ!

めんどくさいと思うと時間(人生)をムダに

前述の後輩の例のように、仕事での目標設定を「やらされている」場合、目標をたてる必要性も意味もありません。
自分の成長も部署や会社の成長も考えていないわけですから。

正直に申し上げて、私自身も先の例でとりあげた後輩のような考え方の時期があったのは事実です。
上司の対応などを見ていて、今は以前よりマシになったのだと思いますが、それでも当然、完璧なわけではありません。
ですが、自分の限られた時間(人生)をムダにしないために毎年の仕事の目標や自分の成長を考えることはとても重要なことと感じています。

実際、この記事を読んでいる方の多くが、1日の1/3程度、起きている時間に限れば1/2程度かそれ以上の時間を仕事に費やしているはずです。
その時間が充実したものになるか否かは、人生が充実したものになるかどうかに直結します。
仕事の目標設定は、人生の多くの時間を充実したものにできるかどうかにつながると考えるべきです。

スティーブ ジョブズの有名な言葉に「あなたの時間は限られている。だから他人の人生を生きたりして無駄に過ごしてはいけない。」というものがあります。
あなたが会社での目標設定を「やらされている」と感じている限り、自分の限られた時間をムダにしていることになりかねません。

最終的なゴールは?

会社の目標として掲げられやすいのは「売上○億円」などでしょうか。
あとは「顧客満足度○%」なども考えられますね。

個々人の目標の最終的なゴールは、会社の目標達成を見据えたものが望ましいです。
ただし、どの部署も「売上○千万円」となるはずがなく、部署ごとの役割があるはずです。
そのため、最終的なゴールである会社の目標を達成するために、「私の部署の目標はこれ!それを達成するために私はこうゆう目標にする!」とすべきです。

もちろん、複数かかげる目標のなかには、個人の成長を見据えたものを含めてるのもOK。
個人の成長というと資格の取得などわかりやすい例ですが、短期的に見れば会社の売上や顧客の満足度に直結するものではありません。
ですが、長期的な視点でみれば会社の信頼性や顧客の満足度につながっていくことなので、資格の取得などの個人の成長を目標に含めるのもいいでしょう。

個人の成長や実績が部署の成績、会社全体の目標や社会貢献につながるということを念頭に置くべきです。

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目標設定のキーワードはSMART

アマゾンにおける個人の目標設定のキーワードは「SMARTに考える」です。

SMARTとは「Specific」、「Measurable」、「Achievable」、「Relevant」、「Time Sensitive」の頭文字をとったもの。
これらの5項目を意識した目標とすることで、設定者側も評価者側も明確で説得力のある判断ができるようになります。

以下ではこれらの5項目について、くわしく見ていきましょう。

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S:明確で具体的

SMARTの「S」はSpecificで、「明確で具体的に」ということです。

明確で具体的とは、例えば5W(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ)でいえるか、などを考えるとよいでしょう。
会社での個人の目標設定に際しては「なにを」などは多くの場合に設定されていますが、「なぜ」というのは不明確な場合が多いように感じます。

上司にいわれるがままに目標を設定されている方は、「なぜその目標が必要か」などを考えるといいでしょう。
本質を考える事で「その目標が本当に必要か」、「その目標で本当にいいのか」といった点で気づくことも多く、より具体的な目標の設定につながります。

M:数値化できる

SMARTの「M」はMeasurableで、「測定可能か、数値化できるか」ということです。

会社や担当している業務によっては、定性的なものが多く、定量的な目標をたてづらい方もおられるでしょう。
ですが、数値化できず、測定できないものは評価者が評価しづらいことはもちろん、設定者側も1年が終わったときに実績を残しづらくなります。

定性的な業務を行っている方であっても、可能な限り、目標を数値化できるように工夫しましょう。
これまでの仕事を振りかえって、これだけのことを行ってきた、こうゆうことは1年ずつ着実に積みあげてこられたということを考えてみるのがいいでしょう。

A:達成可能

SMARTの「A」はAchievableで、「達成可能か」ということです。

達成可能というのは、「このくらいの目標なら確実に達成できるよね」とハードルを下げることではありません。
思い切り背伸びをすれば手が届くくらい高いハードルだけど、決して達成できない目標ではないという意味です。

低すぎるハードルはとても仕事のモチベーションにはつながりません。
先の例でも紹介したように、毎日、例年と同じ仕事や与えられた仕事だけをしていれば達成できるような目標では、とても個人や会社の成長にはつながらないでしょう。

例えば、走り高跳びでの自己ベストが1m50cmの人が「目標が達成できなくて評価が下がるのはイヤだから、今年の目標は1m30cmにしよう!」と、1m30cmを何度も跳ぶようなもの。
ではなく、「自己ベストを超える1m70cmと跳ぶんだ!」とチャレンジし続けるほうが、万が一達成できなかったとしても、自身の成長や周囲の評価につながります。

反対にとても達成できない、達成不可能な高すぎる目標もモチベーションにはつながりません。
走り高跳びで「3mを跳ぶ!」なんて目標は無謀ですよね(ちなみに2022年現在の走り高跳びの世界記録は2m45cm)。
「どうせいくら頑張っても達成できないし」となることが目にみえていますよね。

相当努力をしないと達成は難しいけれど、決して不可能ではないバランスの良い目標を考えましょう。
この記事を読まれているあなたであれば、自身の成長につながる目標を設定できるはずです。

R:価値観に沿う

SMARTの「R」はRelevantで、「価値観に沿ったものか」ということです。

価値観に沿うとは、その人の仕事に沿ったものか、その人がかかげるべき目標か、ということです。
例えば、営業を行わないエンジニア(技術者)が売上の目標を掲げても、自分ではどうしようもないケースが多いですよね。
「それはあなたの仕事じゃないでしょ」、「あなたには他にもっとやるべきことがあるでしょ」と言われるような目標はNGです。

先にあげた「Measurable(測定可能か、数値化できるか)」という項目を意識すると、ついついあなた自身の本来の仕事から逸れてしまいそうですよね。
目標設定に際して、ご自身の仕事の本質を見失わないようにしましょう。

T:期限がある

SMARTの「T」はTime Sensitiveで、「期限が決められていなければいけない」ということです。

期限がいつまでか、ということで目標の難易度はまったく変わってしまいます。
また、複数の目標をかかげる場合、それぞれの目標をいつまでに達成するかを考えておかなければ、すべてを達成するのは難しくなるでしょう。

ただし、すべての目標の期限を期末にするのは要注意です。
単に期限を先延ばししているだけにもなりかねないので、「この目標は努力すれば半期で達成できる」というものがあれば、むやみに期限を先延ばしする意味がありません。
「このノルマは昨年度に9割までできてるけど、とりあえず期限をもう一年延ばそう」という考えでは、誰が聞いても評価は低くなってしまいますよね。

先に述べた「Achievable(達成可能か)」という点も考慮し、「この目標は思いっきり背伸びすれば(努力すれば)いつまでに達成できるか」を考えて、期限を設けましょう。

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達成のためのコツ

上司が目標を決めない

一般企業で多いのが、上司が部下の目標まですべて決めてしまうこと。
部署の目標を設定した上司が、その目標を達成するために「あなたはこれをしてね」とすべて設定してしまう。
部下は言われたままに目標を設定すれば考える必要がなくてラクなので、そのままの目標を設定してしまう。

これでは個人の目標設定が一気にやらされ仕事になってしまい、自分事ではなくなってしまいます。
結果的に、せっかく設定した目標を達成しても、部下の成長につながりづらくなってしまいます。
部下が設定した目標をチェックする際に、上司の考えのほうに修正(誘導)して、書き方を変えてしまうケースもあるので、要注意です。

上司がするのは、目標設定やその目標を達成するためのアドバイス程度。
考えが行き詰まっている部下や、先に紹介した「SMART」のポイントがおさえられていない部下などに、その人の仕事の本質を考えて、アドバイスするのが重要です。
部署や会社の目標が設定されたのであれば、それを達成するために個々人の目標をどうするか、これは上司ではなく部下自身が考えることにより、各人の成長や目標達成への努力につながります。

短期スパンで達成度を確認する

目標達成に向けては、短期スパンで達成度を確認するのが有効です。

目標を設定して、ほぼ1年間、目標はほったらかし。
年度末が近づいてきたから「そろそろ目標を確認しておこうかな」、「あぁ、そういえばこんな目標かかげてたな」ではNG。
せっかく考えた目標が意味をなさず、あなたの実績や成長につながりません。

先に紹介したキーワード「SMART」のなかでの「測定可能か、数値化できるか」などは、短期的な達成度の確認にも使ってみましょう。

例えば「年間でこれだけの売上を達成する」、「1年で新たな契約を何件結ぶ」などは、わかりやすい例。
1年で達成する量が決まっているのであれば、「1ヶ月ではどれくらいか」、「1週間ではどうか」ということに分割しやすいですよね。

アマゾンでは「1週間単位でものごとを考える」というのが定着しているようです。
短いスパンで達成度を確認することで、目標よりも低い水準で進んでいる場合の軌道修正も、早期にとりかかることができるからです。
1年も終わりに差しかかったころに「この目標に全然到達していない」とわかっても、あとの祭りですからね。

当然、すべての仕事が1週間単位でキレイに分割できるわけではありません。
過去の実績とも照らし合わせて「この期間にはこれくらいに達している必要があるな」と、短いスパンで考えておけば、年間の目標達成への目印になります。

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おわりに

本稿では、会社における個々人の目標設定のコツを書籍「amazonのすごい人事戦略」から紹介させていただきました。
アマゾンは、世界的な大企業となった今も毎年の売上高を20%以上伸ばしつづけていて、そのためには会社や部署の目標達成のために、個人が何をすべきかを明確にしているのが大きな強みです。

「上司が考えた目標をやらされ仕事でこなしているほうがラクだよ」というお考えの方もおられるかもしれません。
ですが、あなたの人生は一度しかないので、限られた時間を他人の仕事に使うのではなく、自分の仕事を精一杯行うための努力をしてみてはいかがでしょうか。
なお、「他人の仕事を手伝うな!」という意味ではないので、そこはご注意を。

書籍「amazonのすごい人事戦略」は、アマゾンジャパンの立ちあげのメンバーとしてアマゾンに入社し、ディレクターにまでなった佐藤 将之さんが執筆されています。
書籍のタイトルは「人事戦略」となっていますが、人事に携わる人ばかりに向けた内容ではありません。
人事と聞いてまっさきに思い浮かぶ「社員の採用」はもちろん、「採用した社員の育成」、本稿で紹介した「目標設定や評価の方法」、「リーダーを作るための研修」など、幅広い意味での人事のポイントを取り上げています。

実際、私自身も技術職担当ですが、「こういう工夫をすればいいんだな」とかなり参考になりました。
とても読みやすい内容で、さらっと読めてしまいますので、仕事での成長を目指す方はぜひ手に取ってみてください。

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